学校向け教育コンサルタントとは?仕事内容や役立つ資格を紹介します
教育コンサルタントは、教育関係のなかでも人気の高い職業です。なかには、教育コンサルタントへの転職を考える社会人もいます。そこで今回は、学校向け教育コンサルタントの雇用形態や勤務時間などの概要や仕事内容、役立つ資格を解説します。
教育コンサルタントとは
学校や家庭に対して教育に関する助言をおこなう仕事が、教育コンサルタントです。具体的には、カリキュラムの組み立て方や設備の充実、コスト削減施策、生徒を集めるための広報などをおこないます。
教育コンサルタントは、学校や学習塾などの教育機関向けと一般家庭や個人向けに大きく分かれます。それぞれ仕事内容が大きく変わるので、事前に確認して自分に適したものを選ぶことが大切です。
雇用形態
教育コンサルタントの多くは正社員で、コンサルタントファームなどの企業で働いています。教育コンサルタントの仕事は専門性が高いため、アルバイトやパートなどの求人はほとんど見られません。また教育コンサルタントは長期的に依頼者と付き合う仕事なので、正社員を採用する企業が多いです。
実力のある人は、フリーランスとして活躍する教育コンサルタントもいます。ただし、経験や実力がない場合はフリーランスとして働くのは難しいです。コンサルタントファームなど一度企業に就職し、多くの経験を積んでから独立するのが一般的です。
勤務時間
教育コンサルタントの勤務時間は、依頼者の都合によって大きく変わります。たとえば、学校で打ち合わせをする場合は生徒が少なくなる夕方を希望する依頼者が多いです。予備校や塾は夕方から生徒が集まるので、午前中に打ち合わせします。
基本的に依頼者の都合に合わせて動くため、流動的な勤務時間になることが多いです。教育コンサルタントの休日は学校が休みになる土日祝になります。ただ、予備校や塾の場合は土日祝でも稼働することが多いため必ず休みになるわけではありません。
年収・給与
学校や塾など教育機関向け教育コンサルタントの場合、年収は500~800万円が相場です。教育機関向け教育コンサルタントは経営全体に関与するので年収は比較的高くなります。ただし、コンサルタント業界は年功序列ではなく、完全実力主義であるため結果を残さないと高い収入は得られません。
就職・転職状況
少子高齢化が進む日本では、教育コンサルタントの需要が低下していると考えられがちです。ただ、少ない子どもを取り合うことになるので、教育コンサルタントは逆に増えています。また、キャリアアップや年収を上げるために活発に転職が行われているのも教育コンサルタントの特徴です。
教育コンサルタントの仕事内容
教育コンサルタントは業務はさまざまで、依頼者の希望により仕事内容が決まります。学校向け教育コンサルタントの主な仕事内容は次のとおりです。
- 学校の経営業務
- マーケティング業務
- 教材に関わる業務
- IT環境の支援業務
学校の経営業務
今後どのように経営をおこなうのか企画・立案し、依頼者に対して助言する業務です。具体的には、カリキュラムや設備の変更や広報の仕方、不要な費用削減など専門的視点から提案します。
ほかにも学校の経営を立て直すために学部の統廃合や組織変更などを提案することもあります。経営業務は学校の将来を左右するほど有用な業務です。学校の経営業務は、学校経営を専門としたコンサルティング会社が担うことが多くなります。
マーケティング業務
学校は生徒がいなければ経営を続けることはできません。特に近年は少子高齢化が進んでおり、生徒を確保できない課題を抱える学校も多いです。マーケティング業務では、学校にふさわしい生徒の集め方を考えて有効な施策を提案していきます。
また、学生やその保護者に対してどのように魅力を伝えていくかを考えます。たとえば、専門的な知識が必要になる予算配分や広告媒体の選定に加えて、パンフレットなど制作物の準備やオープンキャンパスや学校見学などのイベント準備を担います。
教育に関わる業務
教育内容やカリキュラムの設計や教育選びは、生徒の学力や満足度に直接影響します。教育コンサルタントは、学校全体の設計を企画したり各授業個別の内容を見直して改善したりするのが仕事です。
生徒の学力が上がれば、それが良いプロモーションになるので翌年に多くの生徒が入学してくれる可能性が高まります。ただし、教育内容やカリキュラムの設計や教育選びを間違えると、生徒の学力低下を招くことがあるので専門性の高い仕事です。
IT環境の支援業務
教育機関はICT化が遅れているといわれています。ICT化とは、デジタル機器や情報処理テクノロジーを取り入れることです。ICT化が進めば生徒の学習方法の幅を広げられるだけでなく、教員の業務効率や生産性を向上できます。
教員が少ないといわれる昨今において、ICT化の促進は取り組むべき課題です。より良い学習環境や職場環境を構築するためにネットワークの提案やICT化をおこないます。ただし、教育に関する知識だけでなくITの知識も必要な業務です。
上記の業務を行う会社に加え、学校危機管理に特化した支援を行うコンサルティング会社などもあります。
教育コンサルタントに有利な資格
教育コンサルタントとして働くには、さまざまな知識の習得が求められます。ここでは、教育コンサルタントに役立つ資格をまとめました。資格を取得すれば教育コンサルタントの業務に役立つため、興味のある人は積極的に資格を取得しましょう。
ITCE教育情報化コーディネータ検定試験
ICT化を支援する役割を担うのがICT支援員です。授業支援や校務支援、機器やネットワークの環境支援、校内研修支援などの業務をおこないます。社会全体にインターネットが普及し、あらゆる場面でデジタル化が進んでいます。このような状況下で、学校でもデジタル化が重要視されはじめました。
ICT支援員になるための資格は必要ありませんが、一定の能力をアピールするためにITCE教育情報化コーディネータ検定資格をとるのがおすすめです。アプリケーションソフトの活用能力やネットワークの知識に加えて、学校教育や学校組織に関する知識が問われる試験になります。
臨床心理士
臨床心理学に基づく知識や技術を使い、精神的な問題をサポートする専門家です。臨床心理士は、精神面の悩みや問題を軽減したり有益なアドバイスを提案したりします。特に一般家庭や個人を対象にした教育コンサルタントになる場合、子どもと接する機会が増えるので資格を取得しておくと役立ちます。
臨床心理士になるには、日本臨床心理士資格認定協会が実施する資格試験に合格することが必要です。また、資格試験を受けるには臨床心理士養成の指定大学院、または専門職大学院の修了が必須です。受験資格に細かい規定がありますが、ほかの試験と比べると比較的簡単な試験になります。
教員免許
教育コンサルタントとして働くうえで、教員免許の取得が必要だと勘違いしている人も多いです。教育コンサルタントに教員免許は必須ではありません。仕事内容によっては教員免許が役立ちますが、そのほかの専門性や業務経験が重要視されます。
また、教員免許は教職課程がある大学や短大で必要な単位を取得して、免許の取得申請を行わなければいけません。教員免許の取得自体は、ほかの試験と比べるとそれほど難易度は高くありません。
まとめ
教育コンサルタントは、教育関係のなかでも人気の高い職業です。近年の日本は少子高齢化で子どもが少ないので、教育コンサルタントの需要は低下していると考える人も少なくありません。
ただこのような状況下で生徒数を確保する必要があるので、教育コンサルタントの知識や能力などの専門性が求められています。教育コンサルタントに興味がある人は、まず仕事への理解を深めましょう。