機密文書の適切な廃棄の方法とは?漏洩によるリスクも解説
企業内では機密文書などの重要な書類の取り扱いについて、気を配っている人も多いかと思います。機密文書はずっと社内で保管せず、いずれは廃棄するタイミングがくるものもあります。機密文書を廃棄する場合、適切な方法で処理を行わなければ、情報漏洩につながってしまうリスクがあるということを理解しておかなければなりません。ここでは、機密文書の種類から、漏洩してしまった際に生じる問題、適切な廃棄の方法などについて解説をしていきます。
機密文書にはどんな種類がある?
機密文書にはどのような種類があるのでしょうか?機密文書は大きく3つに分類されます。それぞれ機密レベルの違いや書類の性質によって分けられます。
極秘文書
極秘文書ですが、企業経営を行う上で極めて重要な情報が書かれている書類のことを指します。企業にとって最も機密性の高い書類であり、仮に漏洩してしまうと、企業にとって大きな損失となってしまう可能性があります。極秘文書は、社内においても閲覧できるメンバーが限定されていることが多く、コピーなども簡単には取れないケースが多いです。具体的には、未発表となっている研究のデータや推進しているプロジェクトに関する資料、経理文書などが挙げられます。
秘文書
秘文書は、極秘文書の次に機密度が高い文書のことを指します。こちらの文書も、閲覧できるメンバーが限られているケースが多いです。具体的には、企業にとって重要な経営戦略などの資料や人事・経理などが関するデータなどがあります。
社外秘文書
社外秘文書とは、社内の人間のみに共有する文書のことを指します。社外に漏洩してしまうと何らかの不利益を被ってしまう場合や公表するにはふさわしくない文書です。社外秘文書は、社内のメンバーに共有され多くの人が情報を入手できるため、コピーなども容易に取れてしまうことから、意図せず情報漏洩につながってしまうケースもあります。
機密文書が漏洩してしまった場合に生じる問題
機密文書は、取り扱いに気をつかっていたとしても、思わぬ形で漏洩してしまうケースがあります。もし機密文書が漏洩してしまった場合どのようなリスクがあるのか解説をしていきます。
企業イメージのダウン・社会的信用の失墜
機密文書の漏洩や、企業のイメージダウンにつながり、社会的な信用が低下してしまう恐れがあります。仮に上場企業であった場合、株価の下落といったリスクもあるということを忘れてはいけません。また情報漏洩したことが公になれば、個人から直接的な苦情を受けたり、SNSなどでの書き込みなどによる誹謗中傷を受けたりする場合があります。こうしたことが引き起こされてしまうと、企業で働く社員の士気も下がってしまいます。
経済的な損失
個人情報の漏洩といった重大な事故があった場合は、民事上において損害賠償責任に問われます。情報漏洩の規模によっても異なりますが、過去の実績では1,000万円を超える賠償が行われたケースもあります。その他、なぜ情報漏洩が起きてしまったのかといった原因調査やクレーム処理を行うための人件費など、本来生じることのない費用が莫大かかってしまうことを理解しておきましょう。
競争力が低くなる
企業が持つ独自の技術や新事業のアイデアなどに関する文書が漏洩してしまった場合は、市場において競争力の低下を招きます。企業独自の技術の漏洩といったケースでは、企業に勤めている社員が悪意を持って競合他社へ情報を流すといった事例がこれまであり、機密情報に関しては、閲覧できるメンバーを制限し、徹底した管理が必要となります。
機密文書を廃棄する上でのポイント
機密文書は廃棄する場合、気をつけるべきポイントがあります。ここでは、特定個人情報を含む機密文書の廃棄のポイントを紹介します。
速やかにかつ復元することが不可能な状態にする
特定個人情報は、保存機関が法律で定められています。ただ、保存機関が到来したらすぐに廃棄しなければいけないというわけではなく、事業者が安全かつ効率よく廃棄できるタイミングを見計らって処分してもよいとされています。また、復元できてしまう形で処分してしまうと、処分する過程で第三者に漏洩してしまう恐れがあるため、必ず復元ができない状態で廃棄するようにします。
廃棄した際には記録をとっておく
特定個人情報などが記された機密文書を廃棄する場合、削除または廃棄する際に記録に残す必要があります。具体的には、廃棄を行った日やファイルの種類、廃棄責任者などが挙げられます。廃棄記録自体も個人情報に関わる機密文書であるため、適切に管理する必要があります。
外部に廃棄を委託する場合は、廃棄証明書を発行してもらい、文書が確実に廃棄されたかについて確認します。
機密文書の適切な廃棄の方法
機密文書を処理する場合、廃棄方法はいくつかあります。大きくは、シュレッダー、焼却処分、溶解処理の3つに分類されます。それぞれ特徴について触れながら解説をしていきます。
シュレッダーによる処理
まず一つ目は、シュレッダー処理によって廃棄する方法です。会社内にシュレッダーを設定している場合は、文書をシュレッダーにかけて処理することが可能です。また、機密文書が大量にある場合は外部の業者へ委託するのも良いでしょう。大型シュレッダー等を用いて一括で処理するこができます。会社内に設置できる小型のシュレッダーは手軽に利用できるのがメリットです。機械自体の価格もそこまで効果ではないため、多くの企業で利用がされています。
社内でシュレッダーを使用する際に注意すべき点は、書類にクリップやステープラーの芯がついている場合は外してからシュレッダー処理を行わなければなりません。大量の文書をシュレッダーによる処理を行う場合は、手間が大きくかかってしまいます。
また社内で行うシュレッダー処理のデメリットは、完全な状態で書類を廃棄できないという点です。シュレッダーに書類をかけると、細かく裁断されますが、文書自体はかき集めれば内容がわかってしまうこともあります。そのため、完全な状態で文書を廃棄したい場合は、あまり向いていません。
焼却処分
焼却処分は、外部の業者に依頼し文書を段ボールなどの箱に詰めて箱ごと焼却を行います。焼却処分のメリットは、文書を跡形もなく完全に消去させることができる点です。
一方で焼却処分は、焼却することで環境に悪いCO2を発生させてしまうという問題が生じます。企業が自ら焼却処分を行うケースは少なく、焼却処分を受けている業者も多くありません。信用できない業者などに依頼してしますと、情報漏洩してしまうリスクもあるので注意が必要です。
溶解処理
溶解処理とは文書を溶解釜のなかで水と混ぜ合わせて刃で粉砕し、液状化させる方法をいいます。機密文書の処理の方法としては、近年多くの企業で利用されています。溶解処理では焼却処分のように有害物質を発生させることがなく、溶解した後はリサイクルできるため、環境に配慮した処理方法であるともいえます。
ただ、費用は高くなるため注意が必要です。
機密文書の廃棄は外部に委託すべき?
機密文書を処理するには、自社で行う場合と外部の業者に依頼する場合があり、一概にどちらがよいとも言えません。コスト面を重視するのか、セキュリティー面やスピードを重視するのかによって、選択基準が異なってきます。
ただ、機密文書の処理でシュレッダーにかけて処分するのはあまりおすすめできません。シュレッダー処理をしても完全に消去することはできないため、回収して悪用される可能性も払拭できないためです。
書類の重要度などを鑑み、適切な廃棄方法を選択しましょう。
まとめ
ここまで機密文書の廃棄に焦点を当て、解説してきました。機密文書の廃棄の方法はいくつかあり、自社で手軽に処分する方法もあれば、業者に依頼して完全に抹消させる方法もあります。機密文書の漏洩を防ぐためには、それぞれの書類の重要度を理解し、社内で共通認識を持って適切に廃棄する必要があるといえるでしょう。