「万能包装材」と言われるOPP袋、発注時に資材購入担当者が気を付けたいこととは?
数ある包装資材の中で用途があまりにも広いため、包装材関係者の間で「万能包装材」と言われているのが「OPP袋」です。ここでは一般企業の資材購入担当者が知っておきたいOPP袋の基礎知識(OPP袋の用途・種類・利用のメリット)に加え、OPP袋を調達する際の販売事業者選びのポイントと調達先を決める際に注意すべき事柄を解説します。
OPP袋が万能包装材と言われる理由
OPP袋とは「Oriented Polypropylene(二軸延伸ポリプロピレン)」の略語で、ポリプロピレン(熱可塑性プラスチック)を縦・横の2方向に引き伸ばし、透明なフィルム状に加工した包装材のことです。メーカーによりクリスタルパック、クリアパック、クリア封筒など製品名は異なりますが、素材はすべてOPP袋と同一です。
引っ張っても伸びず、しわになり難く、透明度が高く、防湿性・防水性・耐衝撃性に優れているので、各種製品・贈答品のラッピング、パンや菓子の包装を始め、数え上げれば切りがないほど汎用的な包装材として利用されています。
OPP袋の用途
OPP袋の主な用途として、一般に次が挙げられます。
・シャツ、作業服、トレーニングウェアなどアパレル製品の包装
・ハンカチ、タオル、靴下、セーター、ネクタイなど繊維製品の包装
・DM、チラシ、景品など販促物の封入
・CD、DVD、ゲームソフトなどの封入
・アクセサリー、小物、貴重品などの持運び袋
・化粧品や化粧道具の持運び袋
・贈答品や土産物のラッピング
・パン、菓子、青果など食品の個別・詰合せ包装
これらの用途は「あるある」の例に過ぎず、OPP袋の実際の用途は無限大と言えます。
OPP袋の種類
ひと口にOPP袋と言っても様々な種類があります。花束等をラッピングする一般的なOPPフィルムの他、主に次の種類があります。
(1)テープ付きOPP袋
OPP袋の封入口に糊を塗布したテープがついているタイプです。テープがついているので封入物を素早く封緘できます。DM・チラシ等の大量の販促物を封入する際は、封入作業時間を短縮できます。
(2)静電気防止加工OPP袋
OPP袋の素材は電気を通さないポリプロピレンなので、静電気が発生しやすい弱点があります。この弱点を補うのが静電気防止加工OPP袋です。この袋は主に電磁波障害防止を兼ねて電子部品や精密部品の包装に用いられています。
(3)抗菌加工OPP袋
フィルムに抗菌剤を塗布したOPP袋です。主に食品や衛生用品の包装材として用いられています。
(4)バイオマスOPP袋
植物由来の原料をポリプロピレンに配合した、環境配慮型のOPP袋です。現在はマイナーな種類ですが、環境配慮を必要とする各種製品の包装材として需要が増加しています。
OPP袋利用のメリット
OPP袋は透明性に優れ、光沢があり、しかも手触りがしなやかで、耐衝撃性に優れているのが特徴です。またOPP袋はグラビア印刷適性も高いので、食品、贈答品、雑貨、アパレル・繊維製品などを際立たせる化粧包装材としての特徴も有しています。
この特徴から、OPP袋利用のメリットとして一般に次が挙げられます。
(1)包装の中身を確認できる
グラビア印刷の化粧を施したOPP袋でも基本は透明なので、包装したままで中身を確認できるのが、OPP袋ならではのメリットと言えます。
(2)コストパフォーマンスが優れている
OPP袋は単層のポリエチレンフィルムを加工した包装材なので、他の素材を加工した包装材よりコストパフォーマンスが優れているのもメリット言えます。
例えばA4サイズの封筒の場合、OPP封筒は1―2円/枚が相場、A4クラフト封筒は5円以上/枚が相場とされています。さらにクラフト封筒と比べ防湿性・防水性・耐衝撃性の高さを考慮すると、OPP袋のコストパフォーマンスの良さは疑いなしと言えるでしょう。
(3)DMにおいては開封率が高い
DMにおいては「開封率は紙封筒よりOPP封筒の方が高い」と言われています。一般に紙封筒に比べOPP封筒の開封率は10%増とも言われています。
その理由は紙封筒とOPP封筒の特徴の違いにあります。
<紙封筒>
・高級感がある
・しかし開封しないと中身が分からないので開封が面倒臭い
<OPP封筒>
・紙封筒ほどの高級感はない
・しかし開封しなくても中身が分かるので興味が湧く
OPP袋販売事業者選びのポイント
OPP袋は包装資材としての汎用性が極めて高く、メリットも多いので需要が高く、包装・梱包資材を取り扱っているメーカー、問屋、大手文具店、百円ショップ、ECサイトなど様々な業態の事業者が販売しています。
そこで資材購入担当者がOPP袋を初めて大量発注する場合は、どのチャネルの事業者に発注すればよいのかと迷うケースが多いと言われています。
そんな時は、次の2点を基準にすると自社のOPP袋調達目的に適した事業者を選べるでしょう。
- OPP袋のラインナップが豊富なメーカー
OPP袋は包装資材の一品目です。したがってOPP袋の調達先を初めて探す時は、まずインターネットでキーワード検索するのが通例と言えるでしょう。そのワードとして「OPP袋」や「包装資材」を用いるのも通例と言えます。
ところがこれらのキーワード検索でヒットするのは包装資材を取り扱っている問屋、大手文具店、百円ショップ、ECサイトが大半です。
これら業態の事業者にとって、OPP袋は「ワンオブゼム」商材なので品揃えに偏りがあり、ユーザにとって選択肢が限られるのが実情と言えます。
また自社が求めているOPP袋が見つかったとしても、印刷やカスタマイズ加工が必要な場合は即応してもらえず、コストも割高になります。
したがってネット検索で探すべき調達先は、OPP袋を主力製品の1つにしている包装資材メーカーと言えます。
こうしたメーカーはOPP袋のラインナップと在庫が豊富なので、自社が求めているOPP袋探しが容易になります。印刷やカスタマイズ加工も社内で行っているので即応してくれます。
- 規格外のOPP袋や特注OPP袋を即納できるメーカー
OPP袋を「ワンオブゼム」商材として取り扱っている前述事業者の場合、品揃えと在庫をしているのは基本的にニーズの多い規格サイズのOPP袋のみになります。
規格外のOPP袋や特注OPP袋はその都度メーカーに発注するので納品に時間がかかり、売値も割高になります。
したがって、規格外や特注のOPP袋を調達する場合も、OPP袋を主力製品の1つにしている包装資材メーカーと直接コンタクトを取るのが賢明と言えます。
OPP袋を大量発注する際の注意点
OPP袋調達先をある程度絞り込んだら、次は基本的に問合せ――➡打合せ――➡見積依頼――➡発注の手順で調達する訳ですが、資材購入担当者はこのワークフローにおいて注意すべき事項として、次の確認をする必要があります。
- 受注単位の確認
OPP袋は一般消費者が購入する包装材ではなく、企業が購入する業務用の包装材です。このため、一定枚数以上の単位でしか受注対応しない包装資材メーカーが大半です。その受注単位は500枚、1000枚、5000枚などメーカーにより様々です。
したがって自社が必要とするOPP袋の枚数を確認した上で、メーカー側の受注単位も確認する必要があります。
- 提案力の確認
OPP袋は単に自社製品や景品を封入するだけの袋ではありません。封入物の見栄えをよくするためにはパッケージデザインや袋の表面施す化粧印刷デザインが重要になります。
そしてパッケージデザインや化粧印刷デザインは適・不適はアパレル製品、繊維製品、DM・チラシ等の販促物、化粧品・化粧道具、贈答品、食品など封入対象物ごとに異なります。
OPP袋のこのパッケージデザインと印刷デザインに一番詳しいのが、実は包装資材メーカーと言えます。毎年数千件、あるいは数万件の受注に対応してきた経験からその知見が豊富だからです。
単に発注書に基づいて「右から左へ流れ作業」式に受注処理をするメーカーではなく、封入対象物の見栄えを良くするパッケージと化粧印刷の提案を発注者の身になってしてくれるメーカーを選ぶ必要があります。
- 封入作業対応の確認
OPP袋への封入は一見単純作業に見えます。しかし発注側はたまに行う慣れない臨時作業なので、封入はどうしても時間がかかり、封入ミスも発生します。この時間とミスは発注側にとって無駄なコスト発生要因になります。
この無駄を避けるためには、受注と封入作業をワンストップで対応してくれるメーカーを選ぶ必要があります。
まとめ
万能包装材と言われるOPP袋は、用途が広いだけにそのサイズ、種類、印刷デザインが多彩です。自社の利用目的に適したOPP袋を調達する資材購入担当者にとって、このことは調達の敷居が高いことを意味しています。
この敷居を低くし、スムーズかつ迅速に大量のOPP袋を調達するためにも、資材購入担当者にとって包装資材メーカーの選択は極めて重要な業務と言えるでしょう。
【参考サイト】
OPP袋の企画制作|チャック袋や三方袋と平袋が人気のヤマガタグラビヤ
ヤマガタグラビアではOPP袋の企画・作成やサンプル作成などを行っております。またOPP袋をはじめとした透明袋全般の種類や素材特徴なども分かり易く紹介されています。